内容証明郵便の書き方と出し方を司法書士が解説

内容証明郵便とは

内容証明郵便とは「いつ」「誰が」「誰あてに」「どんな内容」の文書を送ったかを郵便局(日本郵便株式会社)が証明してくれるサービスです。

一定の場合(契約の解除や取り消し、時効の完成猶予など)を除いては、何か法的な効力が生じるものではありませんが、日本郵便株式会社の証明文や認証の印を押しているので受け取った人に対して心理的な効果を与えることができると思います。

内容証明郵便はどのようなときに使うか

家賃を支払わない借主を借家から追い出したいケース

大家さんが家賃を支払わない借主を追い出すには、まずは借主と結んでいる賃貸借契約を解除しなければなりません。

しかしいきなり賃貸借契約を解除をすることはできません。

賃貸借契約を解除するには相当の期間を定めて催告をしなさいと民法541条が定めています。

(催告による解除)
新民法第541条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。
催告後、建物の明け渡しを求めるには契約の解除を通知します。
催告や通知がされていたかどうか、催告や解除の通知がされたとしたら、いつされたかが争いになる場合もあるので、内容証明郵便で催告や解除をすることによって客観的な証拠になります。

時効で債権が消滅するのを止めたいケース

債権が時効により消滅しそうな場合、時効期間が満了する前に債務者に催告したことを証明するために内容証明郵便で催告します。

※内容証明郵便で催告しても時効を延長できるのは6か月だけです。

内容証明郵便の書き方

内容証明郵便に使用する用紙

内容証明郵便は特に用紙については制限はありません。

ただし、裁判所に提出する可能性のあるものはA4やA3が好ましいと思います。

裁判所の証拠書類の提出についての2コピー用紙の大きさには証拠書類をコピーする際にはできるだけA4サイズを使用してください。証拠書類が大きくA4サイズに収まりきらない場合にはA3のコピー用紙使用し、A4の大きさに折りたたんで提出してくださいと書いています。

内容証明郵便の一枚当たりの字数

内容証明郵便の一枚当たりの字数の制限は次のとおりです。

縦書き 1行20字以内  1枚26行以内

横書き 1行13字以内  1枚40行以内

1行20字以内  1枚26行以内

1行26字以内  1枚20行以内

内容証明郵便の使用文字

(1)仮名(ひらがな・カタカナ)

(2)漢字

(3)数字

(4)英字(固有名詞に限る。)

(5)括弧(括弧は上下又は左右のペアで1文字)

(6)句読点

(7)その他一般に記号として使用されるもの

内容証明郵便の訂正方法

訂正した内容証明郵便を送るのは見た目が悪いので書き直せるなら新たに書き直しましょう。

訂正方法は間違えた個所を二重線で引き、その字数と訂正の内容を「〇文字訂正」「〇文字削除」「〇文字挿入」というように記載して押印します。

同じ内容の文書が3通必要

内容証明郵便は同じ内容の文書が3通必要です。

①受取人用として1通

②郵便局控え用として1通

③本人の控え用として1通

枚数が2枚以上の場合の契印が必要

内容証明郵便が2枚以上の場合は綴り目に契印をします。

契印は3通とも必要です。

内容証明郵便の出し方

どこの郵便局で内容証明郵便を扱っている?

内容証明郵便はどこの郵便局でも扱っているわけではありません。

集配郵便局及び支社が指定した郵便局となっています。

事前に利用したい郵便局が内容証明郵便を扱っているか問い合わせてみるのが良いと思います。

札幌市内で内容証明郵便を送れる郵便局一覧「最新2021年4月現在」。

内容証明郵便の必要書類

1.内容証明郵便で送ろうとしている同じ文書が3通必要です。

  1通は受取人送付用

  1通は郵便局の保管用

  1通は控えとして返却してくれます。

2.差出人及び受取人の住所及び氏名が記載した封筒(郵便局でも買えます)

3.内容証明郵便の料金

4.訂正することも考えて印鑑を持参することをオススメします。

内容証明利用時の郵便料金

内容証明の料金は以下のとおりです。

基本料金+一般の書留の加算料金+内容証明の加算料金=内容証明利用時の料金

※内容証明は必ず一般の書留にしなければなりません。

※内容証明の加算料金は440円(2枚目以降は260円+です)

※基本的に内容証明郵便は配達証明のオプションを頼むことになりますので実際には上記の金額に配達証明の加算料金320円もかかると思った方がよいです。

料金例

①定形郵便で重さ25グラム以内で1枚の内容証明郵便の料金

基本料金  84円

一般書留 435円

内容証明 440円

配達証明 320円

合 計1,279円


②定形郵便で重さ50グラム以内で2枚の内容証明郵便の料金

基本料金   94円

一般書留  435円

内容証明  700円(440円+260円)

配達証明  320円

合 計 1,549円